● なぜ牛肉は熟成させると旨みが増すのか?

● 旨みが出て味わい深く香り高く柔らかいこと、それが肉の熟成 肉はたんぱく質でできていますが、実はたんぱく質自体に味はありません。
酵素によってアミノ酸に分解された時点で、旨みが出てきます。
また筋肉をおおっているコラーゲンも分解により柔らかくなります。
脂肪もまた酵素による分解で、脂肪酸に変化し香りとなります。

熟成することにより、無味のものが旨みを持ち、芳香を放つようになるわけです。
この熟成は、動物の種類によって異なり、鶏肉では1~2日、豚肉は1週間ほど、牛肉では2週間かかります。
肉の熟成の要素とは、温度・酵素・期間です。
食肉文化の進んだアメリカには以前から、熟成促進という考え方があります。
またその他に、乾燥熟成(ドライエイジング)、真空状態で熟成させるウェットエイジングなどがあります。
最近では日本でも熟成肉について広く知られるようになり、一般家庭でもできる方法が紹介されていますが、
雑菌の繁殖を抑えるなどの注意が必要です。

熟成が単なる腐敗と異なることは当然ですが、そこを間違えると単なる腐った肉を作ってしまうことになります。
日本にも古くから多く見られる発酵食品との違いは、微生物が分解に介在するかということです。
熟成はもともと肉の中にある酵素が分解するのに対して、発酵は外部からの微生物で分解が行われます。
熟成は赤身のような脂分の少ない部位でも、こくとまろやかな深みを与え、薫り高い複雑な味わいを与えます。